丘の向こうに、場違いに巨大な建造物が見える。
「あれ、なんですかね」
 君の指さす方を見たその人の顔がぱっと綻び、困ったように苦笑する。
「巨大化しちゃったか」
 あれが探していた模型だと、その人は言った。

 君にお礼を言って、その人は建造物へと駆けていく。
 地に触れる足下で水飛沫のように、白い花弁が舞う。
 颯爽としたその姿を見て、君は、

ふと、寂しくなった。
かっこいいと思った。