身を起こし、玄関に向かう。
 空気が粘って水中のように重い。
 漆黒の人間は君に絡みついている。
 その体は重さが無いかのように、ふわふわとたなびいている。
 さっきまで発散していた圧迫感すら与える程の意志が、抜け落ちたかのように。

 君は渾身の力で重い扉を開ける。
 扉の外は一寸先も見えぬ闇。
 螺旋の階段が闇の底まで続いている。

 ここは12階、最上階だ。君は、

 階段を降りる
 外へと飛び降りる